【書評】西野亮廣著 「新世界」をよんで

書籍

 今回キングコングの西野亮廣氏の著書「新世界」を読んだ書評、意見、感想を書いていきたいと思います。(#新世界とつけて感想文かけと本書の中でプレッシャーをかけられたので)

 

はじめに

 この記事を書くにあたり、少しだけ私の情報を書くと、特別西野さんのファンということではなく、西野さんが主宰するサロンの会員でもありません。今まで、「革命のファンファーレ」と「魔法のコンパス」の二冊(あと「えんとつ町のプペル」も)を読んで、西野さんの本は面白かったので、本書も気になり、サイン本を注文しました。

 本書の特徴としては、西野さんが実践していることのみ語る姿勢を取っており、理想を語っているわけではないこと。そして、会話口調で書かれかなり読みやすかったことがあげられます。私は一日で読み終わることができました。

 しかし、これまでの本を読んでいると、これまでの本と同じようなことが書かれている印象を受けました。本の厚さに対して新しく学べることが少なかったのが、期待していた分残念に思いました。

 プペルの制作の話やクラウドファウンディングの話、信用についてホームレス小谷の話はこれまでも語られてきたことなので新鮮味がありませんでしたが(たぶん本を読んだだけの私でもそう感じたのでサロンに入っている人はもっと感じているのだと思います)、これまでの西野さんの著書を読んだことがない人にとっては常識の延長上にないとても面白いことがたくさん書かれていると思います。

 

新しく学んだこと

炎上の4象限

 炎上の4象限というとらえ方をするのが面白かったです。これによると、どうやら炎上にも種類があるようです。

 炎上の4象限を簡単に説明すると、縦軸に信用度を取って、横軸に認知度を取ったものです。詳しくは本書を読んでみてください。

 このグラフから、広告で稼ぐことができる人(テレビ、YouTubeなど)は、認知度の高い人であり、ダイレクト課金(サブスクリプションモデル、サロンなど)で稼ぐことができる人は、信用度が高い人であるというのが分かります

 今の時代は人の視線を集めれば、広告で稼ぐことができる(YouTubeなり、ブログなど)時代なので、炎上によって人の目を集めてお金にすることもできてしまいます。それを炎上商法と世間は呼びますが、有名になるという視点だけでなく、その炎上によって信用度はどうなっているかが重要になってくるのです。

 炎上といえど、自分の意見を正直に言って批判される炎上は、その言葉に共感する人たちの信用を得ることができますが、ただの悪ふざけによる炎上はアクセスを集められても、信用は失墜してしまいます。

 西野さんが言う「貯信時代」においては、ただ注目を集めるだけでなく、信用を集めなければならない。おそらく、YouTubeといった広告ビジネスの次には、信用に基づくダイレクト課金ビジネスが波に乗ってくるのだと思います。これはメンタリストのDaiGoさんも言っていました(DaiGoさんもニコニコ有料チャンネルという形で今登録者をどんどん伸ばしています)。

 

オンラインサロンのオーナーの条件

具体的な成果物を作る

 まだ社会ではオンラインサロンと聞くと、社員にお金を払わせる怪しい組織だと思われがちです。そんなオンラインサロンのオーナーになるためには、社会に「具体的な成果物」を出す必要が出てきます。すなわち、批判をすべて跳ね返すだけの圧倒的な作品をコンスタントに発表できる力が必要だそうです

「男子」「女子」の違い

 西野さんによると、女子だけのコミュニティでは、方々にお伺い立てまくりでとにかく話が進まないが、一定数いた方が、結果を急ぎすぎる男子にとってのブレーキとなり、いい方向に進むことができるようです。男は「結論」女は「過程」に重きを置くとされるからです。

 

ほかにも条件をたくさんあげていましたが、どれも国内トップのオンラインサロンを率いている人の視点からの意見でとても勉強になりました。

 

私が思う西野亮廣氏のすごいところ

流れの本質を見抜く力

 本を読んでいて特にすごいと思うのが、社会や時代の流れの本質を見抜く力。そして既存のモノ、サービスと新しいもののつながりを考えて、新しいアイディアを生み出すところにあると思います。テレビタレントがクラウドファウンディングで失敗すること、テレビタレントの本が売れないことを、知名度と信頼という二つの指標を使うことで説明して見せたり、クラウドファウンディングでの炎上をファンクラブやチケットの前売り券と絡めて本質は同じなのではないか?と考えることができるところが素晴らしいと思いました。

アイディア・仲間を束ねる力・実践力

 自分が持つコミュニティの力を借りながら、新しいアイディアを出す。そして、企画をする人やエンジニアなどの力を借りながら、アイディアを形にしていく実践力があるところがすごいと思います。

 

文字をお金にする話について

 最後の章「新世界」で文字に価値をつけて、プレゼントにするという構想を掲げていました。これについて私が思ったことも書いておきたいと思います。

既存のものに価値を持たせられるか?

 この本でも言われていましたが、すでに文字というものは世の中にたくさんあふれています。そして誰でも文字は発行することができます。このすでにあふれている文字というものは希少性がなく、たとえお金として信じることができる性質を備えていたとしても、信じることはできない、もしくは、この構想を信じる一部の人の間でしか扱われないのではないかと思います。本書では「皆が価値を信じた瞬間にお金が生まれる」といわれていて、まさにその通りだと思いますが、その価値を信じる根拠が少なかったように私は感じました。

中央集権的な性質

 ビットコインといった仮想通貨に価値がつくのも、埋蔵量に制限があり、中央集権的に管理する人がいないということから希少性があるからです。これにより、価値を信用することができます。誰がどう言おうと論理的に価値が保証されます。

 しかし、このレターポットの話は、中央で運営する人がいて、その人たちは配送料(切手代)を受け取ることで運営できるとありましたが、ここもおかしな話に聞こえました。

 価値を信じている人からすると、プレゼントとして言葉をもらうと、それに価値があるように思えますが、価値を信じていない人からすると、ここでいうレターも、ただのLINEのメッセージも変わらないわけで、さらにレターを送ると、中央で管理する人にわずかながらお金が取られる。

 そして最大の難点が、このプラットフォームに縛られることだと思います。どうも私には複雑な仕組みなだけで、使うと結果損してしまうような気がします。

震災の話があったが

 震災の時に、このサービスによって利益が生まれたとありましたが、そのことからこのサービスが素晴らしいと結論付けるには具体的なデータが足りないと思いました。どんな人がこのサービスでレターを送ったのかが重要で、もしサロンの人が大半を占めているようであれば、このサービスがお金として成り立っている根拠にはならないと思います。

 

ビジネスの宗教化

 本人も言っていたように、世間の人からは「オンラインサロンは宗教なのでは?」という批判があったり、この本の書評にも、オンラインサロンへの勧誘本ということが書かれているのを見ました。この本を読まれた方の中にも、もしかしたらそういう人がいるかもしれないので自分の意見を書いておきます。(先ほども言いましたが、私は西野さんの特別ファンではないです)

 幻冬舎の箕輪厚介さんが著書で話していたように、これからのビジネスは宗教化していく流れがあるように私も思います。

実現したい世界や価値観を表明し、体現する。多くの批判と世間からの返り血を浴びながら、それでも共感してくれる人を集め、巻き込んでいく。そんな教祖力を持った人がこれからの時代を作っていくものだと思っている。 (引用 「死ぬこと以外かすり傷」箕輪厚介)

 この背景には、人が孤独になったことと、物質的に満たされたことがあげられます。人の好みは細分化し、インターネットによって自分の好きな世界で生きることができるようになった。そんな世界では、自分ひとりの世界で生きるのも、自分と同じ価値観を持った仲間、尊敬できる人の下で生きるといった多様な生き方ができるようになっていきます。

 本書を読むと、オンラインサロンの中の世界の話がたくさん書かれていて、例えば「人検索」の話とかは、オンラインサロンの人しか恩恵がないじゃないか、と思いましたが、それでいいということです。

 

 これは、社会全体の中の話ではなく、西野さんが作り上げる世界、まさしく新世界の中の話であって、それを理解することが、西野さんのファンではない人でも、この本を読む上で大事なのだと思います

まとめ

 自分が理想とするビジョンを掲げ、小さなコミュニティを引き連れ世界を作る。きっとこれからの時代そういう世界がところどころにできていくのだと思います。西野さんが主宰する世界では、エンターテイメントが中心で皆がアイディアを出して世界に感動を与えようとしている。そんなビジョンに心惹かれる人も多いのではないかと思います。

 この本を批判したり、ないなと思うのであれば、また自分に合う世界を見つければいい。私自身もエンターテイメントを目標とするわけではないので、サロンには今のところ入会しないと思いますが、日本最大のオンラインサロン主催者の視点はとても面白く学びがたくさんありました。

 「信用」の大切さについて、私は本を買うときに帯に信用している人のコメントが書かれているかどうかで選ぶことがあり、これも信用の効果なのだろうなと呼んでて感じました。〇〇さんの本だから(推薦する本だから)読むという流れは多く、まさしくこれが信用の時代の流れなのだと思います。

 この本は語りかけの部分など、感情的なところが多くて、夜お酒を飲みながら執筆したのかなと思ってしまいましたが、こういうところも人を引き付ける魅力なのかと勉強になりました。

 

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