シンギュラリティの議論 ~情報システム論講義~

研究

情報システム論の紹介

 明治大学の情報科学科の情報システム論という講義は、IT企業の方々に直接お越しいただき、講義をしてもらう形式の講義です。今日はSAPジャパンという企業様から講師として来てくださいました(SAPジャパン Webページ)。

 SAPはドイツのBtoB企業でソフトウェアベンダーの中では世界5位以内に入るような大企業です。一般の人たちはBtoCのブランドに目が行きがちで、BtoB企業のことはビジネスマンや企業の人でないと詳しく知る機会がないのでとてもいい100分間でした。

 そして面白かったのが、Twitterと連動して議論ができる方式が取り入れられていました。この方式のおかげで生徒の発言が取り入れられ、講師の方がそれに答えてくれる形になり、新しい講義の形でとても面白かったです。

シンギュラリティの議論

 シンギュラリティについて、全体で議論しました。シンギュラリティとは何か。

シンギュラリティ(技術的特異点)とは、人工知能が発達し、人間の知性を超えることによって、人間の生活に大きな変化が起こるという概念を指します。
Webページ引用)

 これにより人間の知能が超えられると、人間の労働が必要なくなるのではないか。さらに発達すると人間が滅ぼされてしまうターミネータのようなものも登場するのではないかという議論もあります。

 今回の議題として挙がっていた主なものが、「AIで人間の仕事がなくなるのではないか。そうしたらどうするか」ということと、「AIにできないことなどあるのか」というものでした。

 これらに関して講義で話されたことと、自分の考えを書きたいと思います。

生徒から出た話

AIにより人間の仕事がなくなるのでは?

 もしも、AIが人間の仕事をし始めたらどうなるのか?というのが大きな議題になっていました。それの答えとして、AIの開発研究の側に回ったり、AIにできないものを探しそれについて考えるというものが意見として挙がっていました。

AIにできない仕事はない?

 AIが発達すると、Aiにできない仕事などあるのかという生徒の質問(これもTwitterのハッシュタグから拾ったもの)に対して、講師の方の意見は、人に感動を与えるような仕事は代用できないのでは?というものでした。

 たしかに、スポーツなどのエンターテイメントをAIがやっているのを見ても面白くないし、この分野は人間の不完全さが面白い分野であるため、この先もAIがすべての仕事をできるようにはならないなと思いました。

 

自分の意見

AIによる最適化

 私が思うAIの本質の一つとして、AIによる社会や企業の最適化があるのだと思います。AIが使われている例としてアメリカのUberを挙げます。

 Uberでは一般のドライバーがシステム(AI)から出される最適な指示によってドライバーを迎えに行きます。Uber自体はそれを運営する上層部だけ人間が動かし、中間層であるいわばホワイトカラーの部分をAIが代用するという形になっています。

 ここから学ぶことができるAIの利点は、一番近い車を向かわせたり、最適な大きさや価格の車を向かわせたり、個体差のある人間を最適化しているという点があげられると思います。

これまで私たちは、人間を近代以降の「教育」によって直方体型にそろえる発想で社会を作ってきた。しかし、コンピュータによって全体管理や個別最適化が行えるシステムが現れたことで、個人を画一化しなくても、多様性が保てるようになりつつある。 
それは外形的にはカオティック(無秩序的)に見えるかもしれないが、既定の枠組みに当てはめることによって個々の人間が余剰や歪を引き受けるような無理は生じない。
(引用 「デジタルネイチャー」)

 

 Uberの場合は配車サービスだが、これが一般の企業に適応されてくることから社会でのAIの活用が始まるのではないかと思います。AIが人間の仕事すべてを奪うというよりかは、ほかの産業革命のときのように、消える仕事はあると思うが、それにより今はない新たな仕事が生まれてくるのではないかと思います。

 仮に人間の動きができるロボットが技術的に完成したとしても、まだ人間の方がコスト的には有利なはずです。

人間の補集合

 AIの役割として、人間の知識の補集合になるというのも重要な点だと思います。講義では、人間の知識を超えないように人間が制御するといった意見がありましたが、そもそも人間の思考の枠組みの中でAIを使うのではただの人間の代用でしかないと思います。詳しくは別の記事にまとめたので興味があれば、下の記事をご覧ください。

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まとめ

 Twitter連動型の講義というのが面白かったです。

「消費者は神ではない。しかし、王である。」という話はサプライヤーからの視点でとても勉強になりました。

AI技術だけに目をつけるのではなく、消費者にどれだけ価値を提供できるのか。そしてそこまでのプロセスを考えなければならないということを学びました。

最後に、大学にお越しくださった講師陣の皆様 ありがとうございました。

コメント

  1. 古澤 昌宏 より:

    若泉さん、講義録のまとめ、またご自分の考えを公開してくれたことに感謝します。実名でブログを書くことは、勇気と勉強が必要です。批判に耐えたり、反論したりするのも疲れます。それでも、この活動を長く継続して下さることを切に希望します。

    さて、今回の講義を主管した立場から、少しコメントを致します。
    まず、SAPという会社の活動ですが、それこそこの講義を始めた12年前なら「SAPはERPベンダーです。世界トップです」と言っておけば間違いなかった。ところが、ERP需要が世界中でほぼ飽和し、新しい成長が見込めなくなってしまった今、SAPがERPベンダーのままでいることは許されません。成長しないということは(途中のロジックは省きますが)他社に買収される、というリスクが大きくなることを意味するからです。そのためにSAPはHANAというインメモリデータベースを開発し、ERP以外のアプリケーションを世に送り出すという道を選択しました。他社と比べ競争優位のある「ビジネス領域の」「アプリケーションを」「開発・販売・保守する」という戦略をERP以外に拡張した、それが今のビジネスモデルです。
    SAPジャパンでも、有識者によるブログを多数公開していますので、よろしければこちらをご覧ください。
    https://www.sapjp.com/blog/
    さて、今回の講義の狙いですが「AI」や「シンギュラリティ」を、古澤の持論を展開するためのツールとして使わせてもらいました。では、私が皆様にお伝えしたかった「持論」とは何か。
    「勉強しろ。勉強を続けろ、生涯!」
    に他なりません。AIが発達しようが、シンギュラリティを迎えて単純作業仕事が奪われようが、そんなことは問題じゃない。なぜならどんな状況に陥ろうとも「自分はこうするから」と意思決定できれば良いのですから。
    変化する環境下で「自分の使命」を常に認識し、そのために「自分が行うべきことは何か」を自らの頭で考えられるようになってほしいのです。
    そのためには「常に勉強」しなければいけない、と思っています。中野雄氏は著書「モーツァルト 天才の秘密」 http://amzn.asia/d/cjRqdRY の中で「モーツァルトを天才たらしめたのは、卓越した自習の能力である」と述べています。自習を苦しいと思わず楽しいと思える力、それこそが天才なのだ、と。
    よく「なんであっても、一人前になるには1万時間かかる」と言われます。1日1時間、あることを勉強するなり練習するなりしたとして、3年で約1000時間強。1万時間ということは30年かかる、ということになります。でも、1日10時間それをやっていたとしたら、3年で1万時間達成でき、一人前になれる、ということです。私の知るところでは、どんな分野のプロも、1日10時間くらい平気で「そのこと」に時間を費やしています。時には苦しいこともあるでしょう。基本的に「自習を楽しめない」のであれば、1日10時間をそこに費やすことなどはどだい無理な話で、その道のプロになることは難しい、と考えるべきではないかと思います。

    だらだらとコメントを付けましたが、今回の講義で、実は私が皆様にお伝えしたかったのは、こういうことです。「なんだ、そんなこと、講義で一言も言わなかったじゃないか!」
    それは、私の構成・論理展開の拙さの故です。改善していきたいと思います。

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