ノーベル経済学賞の内容と研究者のインセンティブとの関連

雑記

 NewsPiksの「資本主義をアップデートせよ」という討論で取り上げられていた、経済学から見た、研究者(生産者)のインセンティブについてまとめたいと思います。

 

外発的なインセンティブ

 10月8日、2018年のノーベル経済学賞をウィリアム・ノードハウス教授ポール・ローマー教授が受賞すると発表されました。そのうちの一人であるローマー教授の研究を簡単に紹介します。

ローマー教授の研究

 ローマー教授がノーベル経済学賞を受賞するに至った大きな理由は、アイディアに備わる「非競合性」という性質が持続的な経済成長及び「内生的な」技術進歩を可能にする様を跡付けて見せたことだと言われています

参考 タイラー・コーエン「ポール・ローマーがノーベル経済学賞を手にしたのはなぜ?」

 このローマー教授の研究内容を、大阪大学准教授で経済学者の安田洋祐先生(専門はゲーム理論)が解説して下さりました。それによると、ローマー教授はこれまで経済モデルの中でブラックボックスだった、技術革新の部分を経済学のマクロモデルに組み込んだということだそうです。

 つまり、これまで、研究などのアイディアは複製コスト0で他の人たちが使うことができる、経済学用語で正の外部性ということが起こっており、これらのものは社会全体には大きな利益を生み出すことができるのに、それを生み出した個人へのリターンが少ないことを定式化し、明らかにしました

 

ローマー教授のアプローチ

 これに対し、ローマー教授は、アイディアにもっと金銭的なインセンティブ(特許や知財、給料)をつけるべきだと主張しているようです。

 

内発的なインセンティブ

 これに対し、安田教授は内発的なインセンティブも同様に大切なのではないかと話していました。

アート的な衝動

 日本の研究者を含む世界の研究者は金銭的なものよりも、自由な環境で研究できることがモチベーションとなっていて、そこにはアート的な衝動があると安田教授はおっしゃっていました(アート的な衝動というセリフは落合陽一氏の「デジタルネイチャー」から参照している)。

 アート的な衝動とは、ケインズのアニマルスピリットのようなもので、それは「人は経済活動を行うにあたって常に合理的な行動をするのではなく、血気や野心からしばしば予測不能で不合理な行動をする」というものです。

 

若者が受けるプレッシャー

 本来、研究やアイディアに必要であるはずのアート的な衝動を持つ若者が少なくなっていると安田教授は言います。それは、短期的に業績をあげなければいけないだとか、次の仕事はどうするかといったプレッシャーにさらされていることが原因で、アート的な衝動を持つことができていないとのことです。

 

まとめ

 これらの話を聞いて、自分の内発的なインセンティブというのを大切にしようと思いました。おそらく、巷で言われる「好きなことをとことんやれ」というのはこのアート的な衝動に関連があるのかと思いました。そして、何かを生産する側に立つためには、プレッシャーに負けずに熱意を持つことが大切なのだと思います。

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